Kajii, Atsushi's Vita 梶井厚志履歴書
by 梶井厚志
English version
(July 31, 2023)
和文履歴書 様式第4号「学長および専任教員の個人調書」(2021年7月1日)
日本語訳 もつけました(とても古いバージョン)。
研究概要(和文:とても古いバージョン)
専門分野:ミクロ経済学,情報の経済学, 一般均衡理論, 金融市場理論, ゲーム理論
研究キーワード: 情報の経済効果,市場と戦略,あいまい情報,オークション
略歴(バージョン1)
- 1963年広島県生まれ
- 1986年一橋大学経済学部卒,1991年Harvard 大学大学院卒 Ph.
D. in Economics (1991年11月取得)
- 1991年9月-1996年6月ペンシルバニア大学助教授(Assistant Professor)
- 1996年7月- 2002年7月 筑波大学社会工学系助教授
- 2002年8月- 2003年9月 大阪大学社会経済研究所教授
- 2003年10月-2019年8月 京都大学経済研究所教授
- 2019年9月1日より 関西学院大学経済学部教授
著書:「ミクロ経済学:戦略的アプローチ」(共著)日本評論社2000年,
「戦略的思考の技術:ゲーム理論を実践する」中公新書2002年,「故事成語でわかる 経済学のキーワード」中公新書2006年, 「昔話の戦略思考」日経プレミア新書2017年など.
略歴(バージョン2)
関西学院大学経済学部教授。ハーバード大学Ph.D. (経済学)。専攻は経済理論、特に情報の経済学、一般均衡理論、ゲーム理論。
1986年一橋大学経済学部卒。ペンシルバニア大学経済学部助教授(Assistant professor)、筑波大学社会工学系助教授、大阪大学社会経済研究所教授、京都大学経済研究所教授を経て、2019年より現職。
2001年-07年,Econometrica編集委員(Associate editor)、2013年より19年までJournal of Mathematical Economics 編集長(Editor in Chief)などを歴任。そのほかにもThe Japanese Economic Review とTheoretical Economics 編集委員(Associate editor)などを務める。
2008年日本経済学会中原賞受賞。
著書に「ミクロ経済学:戦略的アプローチ」(共著)日本評論社2000年,「戦略的思考の技術:ゲーム理論を実践する」中公新書2002年,「故事成語でわかる 経済学のキーワード」中公新書2006年,「昔話の戦略思考」日経プレミア新書2017年など。
学位記
写真
研究内容紹介:
概要
私の研究分野を一言で言い表すとすれば、「情報が経済に与える効果の理論的研究」である。これに関して主として以下に述べる3つの観点から理論研究をしてきた。(1)市場システムの理論分析,とくに一般均衡、特に非完備市場の研究:ここでの問題意識は古典的な価格理論(競争的市場の理論)において、情報の問題から生じる市場の不完全性が、市場の働きにどのような効果をもつのかとういうことである。これに関して,不完備金融市場の非効率性に関する一般的結果を導き、いくつかの専門論文雑誌に発表した。(2)意思決定理論:期待効用理論やベイズ意思決定理論を批判的に発展させた非期待効用理論の基礎付けについていくつかの貢献をし、新しい意思決定論の枠組みの提示に関していくつかの研究論文を発表している。(3)ゲーム理論:ゲーム理論に関する基礎研究として、情報が完備でないような一般的な戦略的状況(ゲーム)における均衡の特徴づけに関する研究を行ってきた。これに関しては「情報頑健性」という新しい概念の提示、また上記の非期待効用理論をゲームに取り込む理論的枠組みについていくつかの論文を発表した。
現在は主として上記の(1)と(3)を中心に研究している。
(1)については、効率性のロスの発生を指摘するだけにとどまらず、市場システムのゆがみによってもたらされる厚生格差(所得格差)を具体的に記述する手法の開発に取り組んでいる。すなわち、システムのゆがみは経済全体で見たときには効率性ロスをうみだすが、ある特定のグループの経済主体はかえって利益を得ることは往々にしてある。興味深いのは、そのような利益・不利益がどのような経済主体にどれだけ生じるかであり、それを記述する手法を研究している。またこれに関して、さらに具体的に税制や所得再分配機能を取り込んだ理論モデルを研究し、効率性と分配の問題について考察をしている。
(3)については、通常の期待効用理論に基づくゲーム理論の結果が、期待効用仮説を棄却することによって、どのように修正されなければならないのか、また応用上のインプリケーションを調べている。
学術研究業績紹介:
上記3分野における代表的な学術研究論文を以下に記す:
- 市場システムの理論分析
- "Sunspot Equilibria in a Production Economy: Do Rational Animal Spirits Cause Overproduction?",
The Japanese Economic Review, vol. 60, No. 1, (March 2009), 35-54.
- "The
Structure of Sunspot Equilibria: the Role of Multiplicity,'' with Piero Gottardi. Review of Economic Studies, 66 (July
1999), 713-732.
- "Constrained
Suboptimality in Incomplete Markets: A General Approach and Two
Applications,'' with Alessandro Citanna and Antonio Villanacci. Economic
Theory 11, (May 1998), 495-522.
- 意思決定理論
- "Generalized Utilitarianism and Harsanyi's Impartial Observer Theorem" [with Simon Grant, Ben Polak and Zvi Safra],
Econometrica, Vol. 78, No. 6 (November, 2010), 1939-1971.
- "Cominimum Additive Operators", with Hiroyuki Kojima and Takashi Ui,
Journal of Mathematical Economics 43, (February 2007), 218-230.
- "Intrinsic
Preference for information," with Simon Grant and Ben Polak,Journal
of Economic Theory, (December 1998), 83, 233-259.
- ゲーム理論
- "Interim Efficient Allocations under Uncertainty" [with Takashi Ui],
Journal of Economic Theory 144 no. 1, (January 2009) 337-353.
(available on line 1 July 2008)
- "Payoff
Continuity in Incomplete Information Games,'' with Stephen Morris, Journal of Economic Theory 82, (September 1998), 267-276.
- "The
Robustness of Equilibria to Incomplete Information,'' with Stephen Morris. Econometrica 65,(1997), 1283-1309.